「管理組合損害補償金給付制度」がもたらす恩恵は?

日本マンション管理士会連合会(日管連) が創設した「管理組合損害補償金給付制度」ですが、どのような制度かお分かりでしょうか?  現在、マンション管理士が管理組合の理事長・監事等の外部管理者(第三者管理)になる場合の保険として「マンション管理士賠償責任保険(第三者管理者特約)」 というものがありますが、これは管理組合のため保険ではなく、マンション管理士のための保険です。外部管理者として就任したマンション管理士が、業務としての行為又は不作為に起因して賠償請求をされたり、法律上の賠償責任を負う場合に発生する損害賠償金や訴訟費用を補填する保険であるため、マンション管理士が誠実に業務を行った場合であっても、その業務に関して損害賠償責任が発生してしまった場合に対象となります。 ただ、故意や重過失の場合はこの保険の対象外となるため、例えば外部管理者に就任したマンション管理士が管理組合のお金を「故意」に使い込んでしまった場合等は、 全く補償されないため、外部管理者となったマンション管理士に銀行印を預けた場合のケースにおいて、もし使い込み等が発覚した場合に何の補償の仕組みがないという弱点がありました。つまり、日管連が当該所属マンション管理士が不正行為を行った場合の損害を日管連が補償するのが、今回の「管理組合損害補償金給付制度」になります。  これによって、管理組合が安心して第三者管理者方式導入を検討できるようになり、補償のための費用負担はあくまでマンション管理士で、管理組合に対する負担はありません。損害補償金(実際の損害額に限る)1億円を上限とし、銀行印は、各管理組合の印鑑でなく、全て日管連の印鑑を使うとのことになるため、管理組合の保管口座からの出金時は、日管連に出金伝票を郵送してもらい、日管連で押印することになります。 さらに、外部監査のように、所属のマンション管理士会において、そのマンション管理士に対して、業務執行における会計状況について年1回以上の検証を実施することになります。対象となるマンション管理士は、日管連による独自認定研修試験制度におい 「認定マンション管理士」となった者に限定されます。この制度は、日管連が管理組合の安心と財産保全を目的とした補償金給付制度であり、マンション管理士の不正行為によって管理組合が被った損害を補償する制度であるため、過失による損害は補償対象外(「マンション管理士賠償責任保険」で担保)となります。 よって、これだけ2重3重の制度で担保されれば、マンション管理士による第三者管理は一気に進む?ものと思われます。ただし、そのマンション管理士が外部管理者として適切な業務を行っているかどうかの業務監査までは難しいと思われますが、人間的にもどのような資質を持った人が第三者管理者になり得るのか、当事者である私達自身も探っていかなければならない点かと思われます。 2018年7月12日に実施された認定マンション管理士研修による試験を通じて、既に「認定マンション管理士」が誕生しておりますが、この補償金給付制度が普及していくのかどうかはまだ不透明な状況です。 正直なところ、マンション管理士として外部管理者に就任するためには、かなりハードルが高く、さらに相当な費用がかかります。所属会の会費や日管連登録料からはじまり、管理士損害賠償保険(第三者管理者特約付)、補償金給付制度加入(事務手数料等)、各種研修費用(地方出身者は+新幹線等の交通宿泊費)等は覚悟しておかなければなりません。しかも、収納口座からの出金は日管連による印鑑を貰い、さらに所属マンション管理士会による会計処理チェックが必要になります。そうなると、管理組合から第三者管理者としての報酬をいくらで設定しなければならないのか、再度、見直しが日必要になるかと思われます。チェックする側の日管連や所属マンション管理士会においても負担が大きくなりますし、膨大な件数からチェック返信等も相当時間がかかりそうな気配もございますので、迅速な管理組合運営ができるかどうか心配しております。  2018年10月からこの「管理組合損害補償金給付制度」が正式にスタートしておりますので、今後も第三者管理者方式が普及していくのかどうか、まずは様子見でいきたいと思います。